土蔵改装プロジェクト 2004年12月〜2005年5月

大枝アートプロジェクトの拠点となっている「大枝土蔵」の誕生(リノベーション)の記録です。

1.
2004年12月、はじめて大枝地域をテーマにした造形計画展のために、廃屋を探して発表会場にしよう、との指示を受けた学生がみつけてきたのは、教員の井上明彦が何度かコラボレーションをしたこともある知人・椎原保氏が地元の人から倉庫代わりに借りている土蔵だった。
「かっこいい土蔵を見つけましたよ」
「え、それってまさか・・・」
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2.
椎原氏の好意で、土蔵を展覧会場に使わせてもらえることになったが、3間x3間の空間に、大量の資材がつめこまれているうえ、床がなくて傾斜した地面がむき出し、長年たまった埃がモウモウ、石がゴロゴロ。
作業の難航が予想される。
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3.
作業は資材の運び出しと片づけが完了した2005年3月から始まった。
難題は傾斜した床の処理。一番安上がりの材料であるブロックを使うことにする。土をふるいにかけ、ブロックを水平に敷きやすいよう表面を整える。余った土や石は土嚢に入れて整地に使う。
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4.
話し合う参加者たち。(左)
作業にたずさわったのは教員の井上以外、8人の芸大生全員が女子。
整地して柔らかくした地面にブロックを敷き詰める。取り除いた石は土嚢に入れてあとで再利用する。(右)
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5.
基礎なしの地面にブロックを水平に敷き詰めるのはたいへん。土で高さを微調整しながら作業を進める。(左)
入口の敷居が落ちかけていたのをジャッキで持ち上げ、柱材を入れて補強する。(右)
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6.
傾斜面に沿って床の高さを二つに区切る。空間の分節は柱のモジュールに合わせる。ブロックで段差をつけたところに土嚢と砂をつめこんで高さを整える。(左)
階段をつくり始めたが、まだ道のりは遠い。展覧会(大枝00)にまにあうか?(右)

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7.
ついに階段ができる。急に部屋全体がすきっとしてくる。空間が立ち現れたのだ。(左)
デュシャンの「階段を下りる娘」をやってみる。(右)
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8.
床を整地する。人間スキージですね。手前の鉄板は、椎原+井上の昔のコラボレーション作品の材料。(左)
高いほうの床に取り組む。(右)
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9.
高いほうの床にブロックを慎重に敷き詰める。ブロック床と壁のあいだの隙間にはあとで石をつめる。(左)
入口にも階段をつくる。(右)

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10.
床が完成。使ったブロックは400個近い。入口を入ったところはあえて土の地面を残した。土、ブロック、鉄板、石が織りなす多彩な床の表情。(左)
床の次は天井。長年積もった埃と汚れを落とす。(右)
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11.
柱も全員で磨く。空間がどんどん生気を取り戻していく。(左)
土壁はげっそりやつれている。この状態がのちに左官ワークショップを行うきっかけになる。(右)
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12.
展示台も手づくりする。(左)
入口にとりあえずブロックを並べるが、中途半端な状態。これがのちに古瓦を活かしたアプローチのデザインに結びつく。(右)
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13.
やっと完成した空間を味わう。(左) 窓からの光が使った道具たちを美しく照らし出し、新しい空間の誕生を祝福してくれる。(右)
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