introduction

ありし日の新開地タワー

ありし日の神戸タワー

『新開地アートストリート(SAS)』は、KAVCが開館以来はじめて試みる"人・まち・アート"が出会い共生する魅力的なまちづくりの実験です。このプロジェクトでは、アートという非日常がエイリアンのように地域を侵略するのではなく、日常生活に潜む微細な面白いコト(アート)に気付かせてくれるアーティストや研究者などをナビゲータとして位置づけ、景観やモノではなく人々の意識に緩やかな変化をもたらす、ささやかな【アートマジック】を仕掛けることにしました。2003年1月から3月、まちに根ざしたアートプロジェクトの事始めとして、ユニークなまちの成り立ち、モダンでハイカラな大衆文化、個性的な人々など、見えないモノとして埋もれているまちの魅力の地層を掘り起こす『新開地アートブックプロジェクト〜まちの地質調査〜』を開催しました。

この壮大なプランのコラボレーターには、岡山市内の廃ビルを利用したアートスペース「自由工場」や様々なまちネタアートの実績がある井上明彦氏をメインナビゲータに迎えました。また、井上氏を中心にしたプロジェクトチーム『曙団』(あけぼのだん、大正期に新開地を徘徊していた不良集団の通称)を結成し、アーティストならではの独創的な観点でまちの地質調査/フィールドワークを重ねました。

「温故創新/古きをたずね新しきを創る」をめざし、"バラケツでいこう!"(チャランポランなチンピラなどを意味する新開地由来の言葉)をモットーに、フィールドワークと平行して『事始め!新開地新年会』『新開地カタログをつくる』『新開地人インタビュー』『私だけの地図をつくる』『新開地夜話集』など多種多様なワークショップを行い、さらに3月末にはドキュメント展『湊川新開地古今遊覧』を開催しました。

こうしてついに、まちの生態系をあらゆる角度から検証した成果『湊川新開地ガイドブック』が出来上がりました。

企画:木ノ下智恵子(神戸アートビレッジセンター)

Research and Fieldwork 地質調査/フィールドワーク (2003年1月〜3月実施)

旧湊川の川筋にできた新開地は、昔「湊川新開地(みなとがわしんかいち)」と呼ばれていた。
「湊川」はどこに行ったのか? 自然の川は人間に曲げられても元の川筋を覚えているという。
曙団のフィールドワークは、百年前に消えた湊川を新開地の地面の下に探すことから始まった。


  • 新開地フィールドワーク 仕事始めに「オロナミン卵」で元気一発!
  • 新開地フィールドワーク まちの風景に分け入る。
  • 新開地フィールドワーク 湊川はどこへ行った? 土手跡の地面の下を調べる曙団。想像以上に不思議な地下構造だ
  • 新開地フィールドワーク 新開地の舗装された地面の下はなんと砂だらけ。川跡にできたまちの証拠物件として採取する
  • 新開地フィールドワーク2003年2月13日、ついに湊川隧道に入る。百年前の煉瓦トンネルを細々と流れる地下水に湊川を重ねる。
  • 新開地フィールドワーク 人の来ない湊川隧道の奥ではハトが巣を作っていた
  • 新開地フィールドワーク 同じトンネルでも福原の桜トンネルに夜入るのは勇気がいる。あえなく手前でウロウロ。
  • 新開地フィールドワーク 松竹パチンコの屋上稲荷に参拝。「新開地屋上ツアー」を構想するも、これが見納めになるとは…
  • 新開地フィールドワーク 廃墟化したビルの屋上には家が建っていた。屋上は第二の地面。新開地のもう一つの風景の現場だ
  • 新開地フィールドワーク 廃業したパチンコ店で古い木製の玉入れ箱を発見。のちドキュメント展で展示する
  • 新開地フィールドワーク旧湊川をあしらった大きな壁掛け(原画:武文彦)を川崎重工のビルのロビーで発見(手前は宝飾品の展示会)
  • 新開地フィールドワーク 神戸第一劇場の生駒さんが、湊川温泉を調べていた僕らにビルの図面を見せてくれた。生駒さん、検挙に負けないでがんばれ!
  • 新開地フィールドワーク小さな階段や坂に敏感になる。湊川の土手の記憶、隠れた原地形を探っていく。
  • 新開地フィールドワークこの人と出会わなければ本はできなかった。八ケ代さん、たくさんの資料をありがとう。

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「ピンボール取材大作戦」

新開地の顔 !? の人々から、まちの歴史、知られざる魅力や情報などを聞き、その人物から次なる人物を紹介してもらって、数珠つなぎのリレー形式で取材を敢行。メインナビゲーター井上明彦(美術家)をはじめ、曙団の面々が新開地のまちをめぐりながら地質調査を試みました。

ご協力ありがとうございました。(下の写真はピンボール取材風景)


  • ピンボール取材
  • ピンボール取材
  • ピンボール取材
  • ピンボール取材
  • ピンボール取材
  • ピンボール取材

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Workshop+新開地夜話集

WS-1.「事始め!新開地新年会」

ナビゲーター:井上明彦(美術家)

地質調査の事始めに、料理・飲物・話のネタなどを持ちよって新開地の魅力を伝えあう「新年会」を開きました。
昔の新開地の映像を見ながら、まちの人たちがケンケンガクガク。

2003/1/13 (月・祝) 14:00〜
集合場所=KAVC 1F 参加費無料/持ち寄り制

  • 新開地新年会2003年1月13日
  • 新開地新年会2003年1月13日

WS-2.「新開地カタログをつくる。」

ナビゲーター:井上明彦(美術家)

まちを歩き回りながら気になるモノ・コト・風景をカメラその他で採集し、 独自のテーマによる新開地カタログをつくりました。

2003/2/1(土)、2/8(土)の2日間 両日とも11:00〜18:00
集合=KAVC 3F/会議室1
参加費=2000円(定員15名)
※カメラ持参、または使い捨てカメラを提供

  • WS_新開地カタログ
  • WS_新開地カタログ

WS-3.「新開地人インタビュー」

ナビゲーター:山下里加(美術ライター)

まちを散策して気になるまちの人々に飛び込み取材/撮影を敢行。 ライター業に挑戦!?
2003年2月15日(土)、3月1日(土)の2日間 両日とも11:00〜18:00
集合=KAVC 3F/会議室1 
参加費=2000円(定員15名)
※撮影・録音機材は持参

WS_新開地インタビュー



WS-4.「私だけの地図をつくる。」

ナビゲーター:宮川敬一(美術家、RE/MAP北九州再地図化計画)

まちを散策しながら、私だけのポイントを見つけて、 オリジナル知覚地図を作成!?
2003年3年8日(土)、2003年3月9日(日)の2日間 両日とも11:00〜18:00
集合=KAVC 3F/会議室1
参加費=2000円(定員15名 )
※撮影・録音機材は持参

WS_知覚地図をつくる



5.「新開地夜話集 1・2・3」

様々なテーマに基づいて、街の生き字引や研究者などの話をきっかけに井戸端会議を繰り広げ、
商店街の喫茶店、酒場などがまちの集会場と化して、様々に 語り合います。
各日19:00~
参加費=実費(定員20名)
場所=喫茶エデンほか

  • WS_新開地夜話集
  • [5-1]2/8(土)「まちとアート」

    ナビゲーター:橋本敏子(生活環境文化研究所所長)
    喫茶エデンにて


  • WS_新開地夜話集
  • [5-2]2/15(土)「大衆文化・キネマ」

    ナビゲーター:石田雅志(神戸新聞記者)
    キネマ横丁にて


  • WS_新開地夜話集
  • [5-3]2/22(土)「色町探訪」

    ナビゲーター:加藤政洋(流通科学大学講師)
    福原自治会館にて


    *レクチャー中に映写された戦前の花魁道中の先導役の少女が、たまたま来席された地元の小野和代さん本人であることがわかって、一同騒然となる。


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